植松敬
熱海市伊豆山の大規模土石流で、県は4日、土石流の最上流部にあった盛り土がほぼすべて崩落し、大量の盛り土が流れたことで被害が拡大したと推定されるとの見解を示した。川勝平太知事は記者会見で、専門家の意見を聴きながら検証し、盛り土ができた経緯や土石流との因果関係を調べる考えを示した。
県によると、2010年以降に国交省が測量したデータと県が2020年に取得したデータを比較した結果、開発行為による盛り土は約5万4千立方メートルと推定された。崩れた周辺斜面などを含めて、崩落量は計約10万立方メートルに及ぶ可能性があるという。
川勝知事は、大量の盛り土が崩落したことを重視。「やりようによっては大変危険をもたらすような山への手の加え方になる。県としてしっかり検証する」と述べた。
川勝知事は、この日の全国知事会の緊急広域災害対策本部会議で、「山を開発すると森林を伐採するので、保水力を奪うことになる。土石流は大雨が直接的な要因で開発行為との因果関係は明確ではないが、検証の必要がある」と述べた。(植松敬)
斜面えぐられ土むき出し 県がドローン映像公開
県は4日、土石流が発生した現場付近の写真と上空からドローンで撮影した映像を公開した。映像からは山肌がアスファルトを巻き込んで広い範囲で崩落している様子がうかがえる。
3日夕に伊豆山地区で撮影した。現場近くには住居もあるが、山の斜面は深くえぐられ、茶色い土がむき出しになっている。周囲の木も巻き込んで崩落したとみられる。
県によると、土石流の発生した場所は幅100メートル、長さ100メートル、最大10メートル以上の深さで崩れている。現場は木がなく盛り土があったという。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル